「周囲の人がもめていると落ち着かない」
「会議では周囲の意見に合わせることが多い」
この感覚にピンとくる「調和性」の人は多いはず。
「調和性」は、英語で「Harmony」。
文字通り、「穏やかさ」を大切にする才能です。
自分もまわりも、心が波立たない状態でいてほしい——
そんな思いが、行動の軸になっています。
衝突の芽をそっと摘んでいく。
その自然体での気配りこそが、「調和性」の本質です。
ここでは、「調和性」の特徴や活かし方、さらには注意点について、わかりやすく解説していきます。
調和性は「平和主義」の才能
人と人との対立を嫌う「調和性」は、平和主義の人といえるでしょう。
「いつも落ち着いている」
「いつも穏やか」
こんな風に、周りの人から思われている人も多いでしょうね。
その印象の根っこには、「調和性」の人が持つある欲求があります。
「感情のエネルギーを無駄に消費したくない」
だから、人とは揉めない。
揉めるくらいなら、自分の意見は飲み込む。
また、「調和性」のことを「面倒くさがりの資質」というストレングスコーチもいます。
(ここでの面倒は「人間関係」のこと)
揉めごとは面倒くさい。
自分で面倒なことは起こさないし、首も突っ込みたくない。
この点、「調和性」の人は「確かに」と思うのではないでしょうか(笑)
調和性の公式解説動画
まずは、こちらの動画(1分程度)をご覧ください。
Gallupの公式動画です。
※ 視聴が困難な場合は、そのまま下の解説に進んでも、問題ありません。
離婚弁護士をしている男性です。
「衝突は完全に非生産性だと思っている」
「ダラダラと言い争っても時間の無駄。譲歩によって前進できる」
「話し合うことで、合意に達するよう手助けをする」
こんな言葉が語られていました。
「衝突は非生産的」
中でも、この感覚は「調和性」をよく表しています。
感情的な言い争いを、「その時間がもったいない」と考えますからね。
この男性も語るように、「調和性」は「前進させたい」欲求の持ち主でもあります。
そして、「調和性」の人は、自分の意見を飲み込みがちなところも。
これも、根っこにある動機は一緒です。
「自分が意見することで、話し合いが長引くのがイヤ」
「自分が意見することで、話し合いが決着しないのがイヤ」
意見がないのではなく、物事を前に進めるために「あえて」意見をしない。
この点も、「調和性」の人は心当たりがあるのではないでしょうか。
調和性は、対立する意見をまとめていく人
「調和性」は、別名「合意形成」の才能ともいわれます。
例えば、会議やミーティングで、参加者の意見が対立するような場面。
そこで「調和性」の人は、冷静に双方の言い分を聞いています。
その際、考えているのは次のようなこと。
「双方の言い分の共通点は何だろうか」
「双方が納得する落としどころはどこだろうか」
単なる「穏やかさ」だけでなく、「冷静さ」「合理性」みたいなものも感じますね。
「調和性」は平和主義の才能といわれますが、もうひとつの顔は「現実的な合理主義者」。
会議やミーティングでは、「話し合いを決着させて、物事を前に進めること」を一番に考えていますからね。
意見が対立している状態では、「さて、この場をどう収めようか」と考えているはずです。
そして、「このままでは決着しない」と判断した際には、
「では、〇〇にするのはどうでしょうか」
「まず、□□から始めるのはどうでしょうか」
こんな提案をするでしょう。
「調和性」の人がいたから、その会議で無事に方針が決定した。
「調和性」の人がいたから、もめ事の折り合いがついた。
こういうケースも珍しくないはず。
動画の男性の「離婚弁護士」という職業には、まさに打ってつけの才能といえそうですね。

調和性の活かし方
自らは人との対立を避け、対立が生じている場ではその意見をまとめることが得意な「調和性」。
では、この資質は、仕事やプライベートで、どう活かすことができるのでしょうか?
チームメンバーの意見をまとめる
「調和性」といえば、やはりチームの「まとめ役」。
主張をしたがらない「調和性」にとっては、「自分がまとめ役なんて」と思うかもしれません。
でも、間違いなく適任ですからね。
「私は〇〇だと思います。みなさん、それでよろしいですね?」
「まとめ役」といっても、このタイプではありません(笑)
(これは、どちらかというと「指令性」のまとめ方)
「調和性」は、これとは真逆です。
「みなさんは、どう思いますか?」
自分の意見を述べず、オープンに意見を集める。
そして出た意見を上手にまとめて、チームの意見として統合させていく。
この時のバランス感覚は、「調和性」ならではです。
「調和性」が望む状態は、チームメンバー全員が気持ちよく共通のゴールに向かって行動すること。
そのためには、おかしな「わだかまり」を残すわけにはいきません。
この時、自分の意見を通そうとは、1ミリも思っていないでしょう。
(繰り返しになりますが、「自分の意見」がないわけではありません)
そんな「調和性」だからこそ、「まとめ役」は適任といえるはずです。
チームの雰囲気を整える
場の空気を大切にする「調和性」。
「なんとなく、空気が重たい」
「なんとなく、空気がピリついている」
そんな雰囲気を察すると、「その空気を何とかしたい」と思うのではないでしょうか。
「実は、最近〇〇なんですよ」
「〇〇さんは、最近どうですか?」
と、自分から話題を振ることもあるでしょう。
それをきっかけに会話が弾み、場が穏やかな空気になっていく。
誰も気づかないような、そんな気配りを「調和性」の人は自然体でやっています。
特に、初対面の人が集まる場所での緊張感。
その空気を穏やかにしているのは、たいてい「調和性」です。
自分では自覚がないかもしれませんが、その人がいるだけで場が落ち着く。
そして、みんながリラックスして過ごすことができる。
チームでは、本当にありがたい存在ですね。

調和性の人にあった仕事・職場
まず、大前提として、ストレングスファインダー®は、適職診断ツールではありません。
複数の人が、同じ仕事でそれぞれ成果を出している場面でも、「そこで発揮されている資質が全く違う」ということは、よくありますからね。
だからといって、「調和性に適職なんてものはない!」と断言してしまうのも、どうかと思いますので、就職や転職など、「仕事探し」の際に持っておきたい視点をご紹介します。
ファシリテーター(会議の進行役)
「合意形成の才能」ともいわれる「調和性」は、会議の進行・とりまとめ役でその力を発揮します。
特に、会議で意見が分かれた場面。
場合によっては、「今日はこの辺で」「続きはまた今度」となるかもしれません。
そうさせないのが「調和性」です。
(「調和性」の人は、何も決まらない会議が嫌いですから)
双方の言い分を聞き、お互いが納得できそうな着地点を見つけていく。
そして、参加者の合意を取り付けて、物事を前に進めていく。
「調和性」は、ただの「穏やかな人」ではありません。
「意見をまとめて、チームを前進させる」
そんな力強さも持った才能です。
そう考えると、「調和性」の人は、どんな業界・職場でも力を発揮しそうですね。
会議やミーティングのない職場はありませんから。
プロジェクトマネジャー、チームリーダー
マネージャー、リーダーと聞いて、「自分が?」と感じる「調和性」の人は多いかもしれません。
でも、「調和性」の人だからこそ発揮できるリーダーシップがあります。
それは、令和のリーダーシップともいわれる「サーバントリーダーシップ」。
リーダーシップというと「トップダウン」のイメージがありますけどね。
「調和性」の人は、その要素はほとんどないでしょう(笑)
「これについて、みんなはどう思う?」
「何か困っていることはないですか?」
「一緒に解決策を考えましょう」
これが、サーバントリーダーのスタンス。
「ボトムアップ型」のアプローチで、チームをまとめていきます。
メンバー一人ひとりが主体性を発揮し、強い信頼関係でつながっていく。
「調和性リーダーならでは」のチームを作ることができるはずです。

調和性の人はここに気をつけよう!
ここまで、「調和性」の魅力、そして、その資質の活かし方などをお伝えしてきました。
でも、ストレングスファインダー®の上位資質は、二面性があります。
「意思が強い」と「頑固」みたいなものでしょうか。
これって、表裏一体なんですよね。
ここでは、「調和性」が魅力的な資質だからこそ、「気をつけないと、もったいない!」という点を、2つお伝えします。
自分の意見を飲み込んでしまう
対立を避けたいのが「調和性」。
周りの意見がぶつかり合う場面では、自分の意見を言うよりも「落としどころ」を探し始めるでしょう。
「このままでは話が進まない」
「誰かが譲らないと」
こうした思考が自然と働き、気づけば自分の意見を飲み込んでしまうことも。
調和を重視することは素晴らしい才能です。
しかし、その姿勢が強すぎると、「自分の意見を持っていない人」「「流されやすい人」と誤解されることもあります。
特に「指令性」や「競争性」が強い人にとっては、対立は成長の機会。
その人たちの前で意見を言わずにいると、「本当に納得してるの?」と疑われてしまうかもしれません。
「調和性」を活かすには、意見を飲み込むのではなく、「間をつなぐ役割」を意識すること。
「私はこう思いますが、みんなの意見を踏まえると…」
こう伝えることで、自分の考えを示しつつ、場の調和も保つことができるでしょう。
一人でストレスを抱えてしまう
「調和性」の人は、日頃から、周囲の人たちと「波風を立てたくない」と思っています。
職場でもプライベートでも、周囲の人が気持ちよく過ごすことを第一に考えて、自分の行動や態度を決めているでしょう。
(きっと無意識で)
「この人が気分を害さないように」
「この場の雰囲気を壊さないように」
こうした気遣いが、いつの間にか自分の負担になっていることはないでしょうか。
本当は納得していないのに、同意してしまう。
他の人が気持ちよく過ごせるように、自分の希望にフタをしてしまう。
その時点では、それらを自然と行っているかもしれません。
でもその結果、心のどこかでモヤモヤした気持ちが残り、ストレスが蓄積している可能性があります。
「調和性」は気遣いの才能です。
だからこそ、ストレスをため込む前に小さく発散することが大切。
「私もひとこといいですか?」
「私はこう思っているんですが、どうでしょう?」
こうした一言を加えるだけで、自分の意見(感情)にフタをすることなく、場の調和も保つことができるはず。
「周りの空気を読む」のは素晴らしい才能ですが、「自分の気持ちも大切にする」という意識も忘れないようにしたいですね。

もっと調和性を活かしていくために
ここまで、「調和性」についてお伝えしてきました。
でも、ストレングスファインダー®は、もっと奥が深いですからね。
上位資質は、深く知れば知るほど、人生(キャリア)を豊かにする自分だけの道具になっていきます。
ここからは、そのヒントを2つご紹介します。
調和性×〇〇の組み合わせ
資質は、単独でも特徴はありますが、実際に私たちの中で「強み」として発揮されるとき、決まって「調和性×〇〇」のように、2つ以上の資質がかけ合わさった形で現れます。
これこそが、ストレングスファインダー®の奥深さであり、私たち一人ひとりの個性です。
上位トップ5の資質が、他の人と全く同じになる確率は、3,300万分の1。
そして、「資質×資質」の組み合わせパターンは、561通り。
上位に同じ「調和性」を持っていたとしても、それ以外にどんな資質を上位に持っているかによって、その人の「調和性」が解き放つ魅力は、他の人とは全く異なります。
ここでは、参考までに、「調和性×〇〇」の例を2つご紹介します。
調和性×公平性
チームで何かを決める際には、一部の人の意見に振り回されることなく、関係する全員の意見に等しく耳を傾けていく人。
その意見を聞きながら、全員が納得・共感できそうな落としどころを見つけて合意形成を行い、チームを前に進めようとしていく。
調和性×回復志向
人間関係の衝突や問題が起こったときに、それを冷静に受け止め、解決に向けて行動できる人。
ただ争いを避けるのではなく、根本的な原因を見極めながら、より良い関係性を築くための橋渡しをしていく。
ストレングスコーチを使ってみよう
「調和性×〇〇」の例、いかがでしたか?
この組み合わせは、まだ残り31通りありますからね。
ストレングスファインダー®の書籍を買って、アセスメントを行い、該当するページを読む。
確かにそれも大事ですが、私の感覚では、その段階でのストレングスファインダー®の理解度は、3割程度。
理解度が3割ということは、今後の活用度も3割ですからね。
これでは、せっかく本を買ったのにもったいない。
最新の調理家電を買ったのに、「あたため」しか使わないようなものです。
ストレングスファインダー®は、自分の中に備わっている「人生を豊かにする道具」の存在を自覚するもの。
そして、その道具を、みなさんと一緒に明らかにするサポート・ガイド役となるのが、ストレングスコーチです(私もその一人ですけどね)。
一度きりの人生。もっと自分らしく。もっとラクに。
そう思う人は、一度ストレングスコーチとの「個人セッション」を受けてみてください。
(ちなみに、私のコーチ資格取得は、この「個人セッション」体験での感動がきっかけでした)
※このサイトでも、いずれ「個人セッション」の受付を行います。
以上、「調和性」について、ご紹介をしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ぜひ、ご自分が上位に持つ他の資質についても、当サイトでご確認ください。
Use your strengths to be yourself.
~強みを活かして、あなたらしい人生を~
実行力 | 影響力 | 人間関係 構築力 |
戦略的 思考力 |
---|---|---|---|
達成欲 | 活発性 | 適応性 | 分析思考 |
アレンジ | 指令性 | 運命思考 | 原点思考 |
信念 | コミュニケーション | 成長促進 | 未来志向 |
公平性 | 競争性 | 共感性 | 着想 |
慎重さ | 最上志向 | 調和性 | 収集心 |
規律性 | 自己確信 | 包含 | 内省 |
目標志向 | 自我 | 個別化 | 学習欲 |
責任感 | 社交性 | ポジティブ | 戦略性 |
回復志向 | 親密性 |
『ストレングスファインダー』は長年親しまれてきた名称ですが、現在は開発者の名を冠した『クリフトンストレングス®︎』が正式名称として使われています(提供元は変わらずGallup社)。
診断内容や考え方は同じものです。
この記事では、広く知られている『ストレングスファインダー』という言葉を用いますが、現在の正式名称は『クリフトンストレングス®︎』である点をご理解いただけますと幸いです。