「よくそんなに前のことを覚えているね。」
「原点思考」の人は、こんな言葉をかけられたことがあるのではないでしょうか。
「原点思考」は、過去の出来事をよく覚えている。
そして、その記憶で周りの人たちに貢献することができる才能です。
また、会議やミーティングの場面でも、独自の思考パターンで「いてくれて助かった」といわれる存在になっていきます。
みなさんは、この「原点思考」を、仕事やプライベートの場面で上手に活かせているでしょうか?
ここでは、「原点思考」の特徴や活かし方、さらには注意点について、わかりやすく解説していきます。
では、いってみましょう!
原点思考は「歴史(記憶)を活かす」才能
「原点思考」は、英語で「context」。
これは、「文脈」「背景」という意味です。
この意味から、「原点思考」ならではの思考パターンが見えてきます。
「今、目の前で起こっていることは、過去からつながっている」
「過去を振り返れば、今を理解することができる」
イメージとしては、こんな感じ。
「適応性」は「今この瞬間」の人。
「未来志向」は「未来」の人。
それに対し、「原点思考」は「過去」の人といわれます。
「適応性」や「未来志向」の人たちは、「終わったこと」をどんどん記憶の彼方に持っていきがちです。
(ひとことで言えば「忘れてしまう」)
それに対して「原点思考」の人は、その「終わったこと」を脳内にストックしていきます。
しかも、その記憶が「点」ではなく「線(文脈)」。
例えば、後輩から「どうしてうちの会社には、こんなルールがあるんですか?」と聞かれたとします。
「適応性」や「未来志向」の人は、苦手な質問かもしれませんね。
「どうしてだったかなぁ~」と記憶を辿ってもその答えが見つからない…。
これは、このふたつの資質の「あるある」です(笑)
それに対して、「原点思考」の人。
「実は、〇年くらい前にこういう出来事があってね」
「それはまずい、という話になってこのルールができたんだよ」
きっと、こんな感じで説明できるでしょう。
これが、出来事を「線(文脈)」で記憶する「原点思考」です。
原点思考の公式解説動画
まずは、こちらの動画(1分程度)をご覧ください。
Gallupの公式動画です。
※ 視聴が困難な場合は、そのまま下の解説に進んでも、問題ありません。
マネージャーを16年務めている男性です。
「過去の教訓が、現在の状況で生かす力を与えてくれる」
「原点思考は、見通せる力」
「ひとつの場所に長くいればいるほど、より効率的になる」
長く積み重ねてきた経験が、未来をよくするための材料になっている。
こんなイメージでしょうか。
「ひとつの場所に長くいる」というのも、興味深い言葉でした。
これは、資質によっては「飽きる」状況になりそう。
(例えば「適応性」とか「学習欲」)
でも、「原点思考」の人には、よりよい判断をするための「経験が蓄積されている」ということなんでしょうね。
過去の事例を、これからの判断に活かす人
動画の男性は「原点思考」の才能を、「過去に学んだことを使って、よい結果に向けた選択をする能力」とも語っていました。
過去の成功を今の判断に活かす能力
同じ失敗を二度繰り返さない能力
このように言い換えることもできるでしょう。
何か判断を迫られる場面では、
「これと同じようなケースが、確か前にもあったな」
「あの時は、〇〇の判断をして、こんな結果になっていたな」
こんな感じで、過去記憶を辿ることができるはずです。
しかも、「頑張って」思い出そうとするのではなく、「自然と」思い出すことができる。
これは、周囲の人は助かるでしょうね。
判断に必要な材料を、記憶の中から持ってきてくれるわけですから。
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原点思考の活かし方
過去の出来事を自分の脳内にストックしていく。
さらに、それを文脈(線)で辿り、時系列のエピソードとして取り出すことができる「原点思考」。
では、この資質は、仕事やプライベートで、どう活かすことができるのでしょうか?
チームの意思決定に貢献する
先ほども紹介しましたが、「原点思考」の人たちの「記憶」は、チームにとって大きな助けになります。
過去に「うまくいったこと」「失敗したこと」。
そして、そこから得た教訓。
これらが、しっかりと頭の中にストックされていますからね。
例えば、チームで何か新しい判断を行う場面。
「原点思考」の人は、ストックした「記憶」を使って貴重なアドバイザー的存在になれるでしょう。
また「原点思考」は、問題解決をする際にも大きな役割を果たします。
「そもそも、なぜこの問題は起こったんだ?」
この「そもそも」思考。
これは、「原点思考」の「文脈(線)を辿る」能力です。
問題を、起こっている現象だけを見て判断するのではなく、その「背景」に自然と意識を向けていく。
そしてそこを辿ることで、問題の「根本原因」をつきとめていく。
「解決すべきは、まずここじゃないかな」
問題の表面的な解決ではなく、「そもそも」を辿った根本解決。
これも、「原点思考」ならではの貢献ポイントです。
仲間を深く理解する
「そもそも…」と、物事の背景や経緯に自然と意識を向けることができる「原点思考」。
そのアンテナを「人」に向けると、仲間や友人との関係強化につながります。
「学生時代は、何に夢中になっていたの?」
「前職では、どんな経験を積んできたの?」
などなど。
「原点思考」の人は、相手の「これまで」について、純粋に興味をもって尋ねることができるはず。
人は、自分に興味を持ってくれた相手に好感を持ちます。
しかも、自分の「背景(バックボーン)」に興味を持ってもらえると、その相手への印象はさらに良くなるでしょう。
「背景 = 人の歴史 = その人そのもの」
ここに興味を持ってくれているということですからね。
このように、「原点思考」は相手を深く理解することによって、周囲の人との関係を強化することができる才能です。
(人への興味がもともと高い「個別化」をあわせて持つ人は、さらにパワフルでしょうね)
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原点思考の人にあった仕事・職場
まず、大前提として、ストレングスファインダー®は、適職診断ツールではありません。
複数の人が、同じ仕事でそれぞれ成果を出している場面でも、「そこで発揮されている資質が全く違う」ということは、よくありますからね。
だからといって、「原点思考に適職なんてものはない!」と断言してしまうのも、どうかと思いますので、就職や転職など、「仕事探し」の際に持っておきたい視点をご紹介します。
データや過去資料が豊富にある職場
過去を未来に活かしていく「原点思考」は、その過去の材料が多ければ多いほど、力を発揮するでしょう。
「過去を知ることで、今を理解できる」
「未来に向けた判断材料は、過去の中にある」
「原点思考」の人たちは、このように考えますからね。
そう考えると、「過去を辿る」材料が多ければ多いほど、ワクワクするかもしれません。
(「原点思考」の人に「歴史好き」が多いのもこの理由でしょう)
過去のデータや資料を読み解き、そこから「パターン(成功法則)」や「教訓」を得る。
そして、それをもとに今必要な判断を下していく。
これは、「原点思考」を仕事で存分に活かせている状態といえるでしょう。
人にアドバイスや教育を行う職場(仕事)
過去の経験を脳内にストックできる「原点思考」は、そこから得た「教訓」や「知恵」で周囲の人たちに貢献できます。
この経験は、成功も失敗も問いません。
「わからなければ、〇〇さんに聞くといいよ」
「判断に迷ったら、〇〇さんにアドバイスをもらったら?」
職場では、この「〇〇さん」の存在になるはずです。
そう考えると、「長くその職場にいる」というのも重要な要素かもしれません。
(これは、先ほどの動画の男性も話していたことですね)
もし転職を検討する場合は、「それまでの経験が活かせるかどうか」が重要。
まったくの畑違いの業界(仕事)では、それまでの経験が一旦リセットになりますからね。
20代や30代前半は、時間があるのでそれでもいいでしょう。
ただ、40代や50代の「原点思考」の人は、ちょっともったいない。
「自分が積み重ねてきた経験は何か」
「自分が、経験を踏まえて人の役に立てることは何か」
転職活動をする際は、ぜひこの「経験の棚卸し」をじっくりと行ってみてください。
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原点思考の人はここに気をつけよう!
ここまで、「原点思考」の魅力、そして、その資質の活かし方などをお伝えしてきました。
でも、ストレングスファインダー®の上位資質は、二面性があります。
「意思が強い」と「頑固」みたいなものでしょうか。
これって、表裏一体なんですよね。
ここでは、「原点思考」が魅力的な資質だからこそ、「気をつけないと、もったいない!」という点を、2つお伝えします。
新しい行動へのスピードが遅くなってしまう
何か判断をする際、自然と「今までどうだった?」と過去に思考が向く「原点思考」。
今すぐに判断を下さないといけない。
「(思考の)巻き戻し」をしている暇はない。
こんな場面では、ストレスを感じるかもしれません。
(あわせて「慎重さ」も上位に持つ人は、さらにストレスがかかりそう…)
だからといって、緊急の場面でいつもの「巻き戻し」をしてしまうのも問題です。
その時間が、タイムロスになってしまいますからね。
同様に「前例がないこと」を判断するケースも、「原点思考」は苦しいかもしれません。
「前例がない = 判断材料がない = 判断のしようがない」
こうなりますからね。
気持ちはわかります。
でも、これはもったいない…。
「判断ができない」
「判断を先送りにする」
これを繰り返すと、貴重なチャンスを逃してしまいますから。
これらが、「原点思考」がマイナスに働いている状態です。
これまでの自分を振り返って、心当たりのある人もいるのではないでしょうか。
過去にこだわりすぎてしまう
「未来の判断材料は、過去にある」
この思考の「原点思考」ですから、過去の成功・失敗事例に固執してしまうこともあります。
「前は、こうやっていたから」
「それは、前に失敗したから」
確かに、それは事実でしょう。
でも、その「こだわり」が、新しい可能性を消してしまうかもしれません。
新たにチャレンジしたいと思ったことについて、過去の記憶がブレーキになってしまう。
これは、本当にもったいないですからね。
「過去(の経験)が繰り返される」と決まったものは、本来なにひとつないはずです。
これまでの自分と、これからの自分は別人。
時には、そんな思い切った切り替えも必要でしょう。
(「未来志向」の人は、これがナチュラルな思考パターンかも)
また職場では、決裁権のある「原点思考」の人は要注意。
若手社員の提案を、自分の記憶(自分の物差し)だけで判断し、「それは前に失敗してるから」と安易に却下してしまう。
その立場にある方は、心当たりはありませんか?
気持ち(思考)はわかります。
でも、これのやりすぎは、若手社員のモチベーションダウンにつながってしまいます。
経験は、確かに貴重な財産です。
でも、そこに固執しすぎることによるマイナス面も自覚しておきたいですね。
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もっと原点思考を活かしていくために
ここまで、「原点思考」についてお伝えしてきました。
でも、ストレングスファインダー®は、もっと奥が深いですからね。
上位資質は、深く知れば知るほど、人生(キャリア)を豊かにする自分だけの道具になっていきます。
ここからは、そのヒントを2つご紹介します。
原点思考×〇〇の組み合わせ
資質は、単独でも特徴はありますが、実際に私たちの中で「強み」として発揮されるとき、決まって「原点思考×〇〇」のように、2つ以上の資質がかけ合わさった形で現れます。
これこそが、ストレングスファインダー®の奥深さであり、私たち一人ひとりの個性です。
上位トップ5の資質が、他の人と全く同じになる確率は、3,300万分の1。
そして、「資質×資質」の組み合わせパターンは、561通り。
上位に同じ「原点思考」を持っていたとしても、それ以外にどんな資質を上位に持っているかによって、その人の「原点思考」が解き放つ魅力は、他の人とは全く異なります。
ここでは、参考までに、「原点思考×〇〇」の例を2つご紹介します。
原点思考×回復志向
身の回りで起こる問題を放置することなく、自ら率先して解決に向けた行動をすることができる人。
その行動の際は、安易に動くことなく、「どうしてこの問題は起こった?」「そもそもの原因はどこにある?」と思考を巡らし、根本原因を見つけたうえで、より効果的な問題解決を行っていく。
原点思考×収集心
周囲の人から質問やアドバイスを求められた時には、これまでの自分の成功(失敗)体験から、適切な回答・助言を行っていく。
もし自分に経験のない事柄だった場合は、「わからないから」とすぐに断ることをせずに、相手のために自ら情報を集めて回答を準備し、質問者の期待に応えようとしていく。
ストレングスコーチを使ってみよう
「原点思考×〇〇」の例、いかがでしたか?
この組み合わせは、まだ残り31通りありますからね。
ストレングスファインダー®の書籍を買って、アセスメントを行い、該当するページを読む。
確かにそれも大事ですが、私の感覚では、その段階でのストレングスファインダー®の理解度は、3割程度。
理解度が3割ということは、今後の活用度も3割ですからね。
これでは、せっかく本を買ったのにもったいない。
最新の調理家電を買ったのに、「あたため」しか使わないようなものです。
ストレングスファインダー®は、自分の中に備わっている「人生を豊かにする道具」の存在を自覚するもの。
そして、その道具を、みなさんと一緒に明らかにするサポート・ガイド役となるのが、ストレングスコーチです(私もその一人ですけどね)。
一度きりの人生。もっと自分らしく。もっとラクに。
そう思う人は、一度ストレングスコーチとの「個人セッション」を受けてみてください。
(ちなみに、私のコーチ資格取得は、この「個人セッション」体験での感動がきっかけでした)
※このサイトでも、いずれ「個人セッション」の受付を行います。
以上、「原点思考」について、ご紹介をしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ぜひ、ご自分が上位に持つ他の資質についても、当サイトでご確認ください。
Use your strengths to be yourself.
~強みを活かして、あなたらしい人生を~