Gallup認定ストレングスコーチのkohapapaです。
これまで、自分が勤める会社の同僚や、提携企業向けに、ストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)の個人セッションを約700回、同ツールを使ったチームビルディングのワークショップを100回以上行ってきました(2024年10月時点)。
このサイトでは、その経験をもとに、わかりやすくストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)を紹介していきます。
前回の「その1」に続き、今回も、ストレングスファインダー®の診断結果でわかることをお届けしていきます。
ストレングスファインダー®で判明する資質は、その時点では、まだ「強み」とは言い切れない。これは、前回お伝えしたことです。というのも、この資質には、「強み」とは逆の「弱み」の要素も含まれているんです。
「弱み」を知り、「弱み」と付き合っていく。
その考え方を、今回はお届けしていきます。
どうぞ、最後までお付き合いください。では、いってみましょう!
1.ストレングスファインダー®でわかる「弱み」とは?
ストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)には、この「弱み」について、ふたつの考え方があります。まずは、そこから整理をしていきましょう。
① ベースメント(上位資質が持つ「弱み」の要素)
② 下位資質(文字通り下の順位にある資質)
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
①上位資質のベースメント
そもそも、「ベースメント」という言葉に、私たちは馴染みがないですよね。逆の意味を表す言葉に「バルコニー」というものもあります。まずは、その2つの考え方から整理していきます。
バルコニーは、資質が「いい感じ(ポジティブ)」に使えている状態を指します。その資質がうまく機能し、自分や周囲に、良い影響を与えているときといえるでしょう。一方のベースメントは、その反対で、「マイナス(ネガティブ)」な使われ方をする状態のことをいいます。
わかりやすく、例を挙げてみていきます。
私の上位資質に「最上志向(Maximizer)」があるのですが、この資質は、「今に満足することなく、常に最高の結果を追求しよう」という動きをしてくれます。これって、「バルコニー」の状態といえますよね。振り返ってみると、私もこの資質にとても助けられてきました。「もっと、もっと!」と努力を惜しまない自分を、自然とつくってくれますからね。
一方で、この「最上志向」、完璧を求めすぎてしまい、自分にも他人にも過度な期待をかけ過ぎることがあります。周囲の人たちが「このくらいでいいんじゃない?(80%完成度)」と満足している場面でも、「いやいや、全然でしょ!」と納得せず、チームの輪を乱してしまう。また、周囲の人の仕事の質に過剰に反応し、厳しく指摘・フィードバックをしてしまう。これが、「ベースメント」の状態です。ちなみに私は、この2つの例、どちらも心当たりがあります…。
この「バルコニー」と「ベースメント」の二面性。これは、すべての資質に考えられます。常に「背中合わせ」と言ってもいいかもしれません。馴染みのある例で挙げると、「意志が強い」と「頑固」みたいなもの。「よく言えば〇〇、悪く言えば〇〇」というものだと思ってください。
②下位資質(書籍購入後、アップグレードにより判明)
ストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)は、アップグレードをすることで、34個すべての資質の順位が明らかになります。この中の、下位1/3(23~を34位)「下位資質」と捉えることが一般的です。
上位資質が、私たちが「自然に行っている思考・行動のパターン」であるのに対し、下位資質は、「意識しても出てこない思考・行動パターン」と言っていいでしょう。わかりやすく言うと「苦手」であり、そもそも「興味もない」もの(笑)
私の下位資質に「分析思考(Analytical)」があるのですが、この資質が下位にある私は、細かいデータの検証や、論理的な分析が得意な方ではありません(そもそも、興味がない)。これは、仕事をする中で、必要となる場面が何度もあったのですが、他の業務に比べて、「並以下」だった自覚があります。これも、ストレングスファインダー®の結果を知って、「確かに!」「だからか~」と納得でした。
2.ベースメント(上位資質が持つ「弱み」の側面)の取り扱い方
ベースメントと上手に付き合うには、「自己観察」がカギになります。
この自己観察を行うためには、自分の資質が、どんな場面で、どのようにネガティブなる応をするのかを理解するのが第一歩です。例えば、私が持つ「最上志向」の場合、完璧を求めすぎることで、自分や周囲に、過度なプレッシャーを与えすぎてしまうことなどが挙げられます。
そして、自己観察。
これは、日々の中で、自分の「感情の動き」を意識的に振り返る習慣を持つといいでしょう。特に、自分が「イライラしたとき」や、不安・心配などの「ネガティブな感情になったとき」は、資質がベースメントモードになっている可能性大です。
その時には、「このイライラは、どの資質が反応しているんだろう」「この不安は、どの資質がザワついているんだろう」というふうに、客観的に、感情と資質を結び付けて考えることを、私はオススメしています。この「客観視」ができた時点で、本来は無意識に動く上位資質のベースメントを、意識下に置くことができた、つまりコントロールできる状態になったといえますからね。
この客観視ができたあとは、コントロールの段階です。
これは、自分の資質の「ボリュームを絞る」イメージで、私は考えています。前回もお伝えしましたが、上位資質は、私たちが「自分らしく生きる」ためのツール(道具)ですからね。道具である以上、コントロールできて当然(笑)。これが、私の捉え方です。
「おいおい最上志向、ちょっとこだわりが強すぎだよ」
「ここは、全体の成果から考えると、80%の完成度で十分だろう」
こんな声をかけながら、「もっともっと!」と声高に叫ぶ最上志向のボリュームを絞っていく。こんなイメージです。伝わればいいのですが…。
(それぞれの資質のベースメント傾向は、個別の資質解説で紹介していきます)
「自己観察」以外には、信頼できる人からの「フィードバック」も効果的です。上位資質、特にトップ5は、自分にとって「当たり前感」が強いですからね。自己観察をしようにも、そのイライラが、通常運転モードになっていて、ネガティブ感情だと自覚できないかもしれません。
そんな時こそ、他者からのフィードバックが有効です。
「ちょっと細かいところへのこだわりが強すぎるんじゃない?」
「最上志向が出てるね~、誰もそこは気にならないよ。」
下段の言葉がけは、組織・チームで、互いのストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)を共有しているからこそ出てくる言葉です。私のこれまでの経験上、これができるチームは強いですよ。お互いの感情・欲求レベルでの「取り扱い説明書」を手にしている状態ですからね。
3.下位資質の取り扱い方
下位資質との付き合い方は、少々工夫が必要です。下位資質は、「苦手」であり、そもそも「興味もない」ものですからね。そこを無理やり強化しようとしても、「かけた労力のわりに成果が得られない」ということも珍しくありません。
その努力を否定するわけではないんですけどね。でも、やっぱりもったいない。
普通に扱える「利き手」があるのに、その反対の手で、字を書く練習をするようなもの。私は、そんな捉え方をしています。
私の場合、下位資質の「分析思考」。ここには、ある程度見切りをつけました(笑)。
データ分析や論理的な検証。確かに必要な場面はあります。その時は、この苦手意識を克服するのではなく、苦手を自覚、受け入れたうえで、「迷惑をかけない程度にやろう」と考える。そして、そこに過度の時間と労力を使うのではなく、それは自分が得意とする上位資質を活かす方向にシフトをしました。
そして、もうひとつ効果的な考え方があります。それが、「資質の貸し借り」というもの。
チームで、互いの上位資質を理解しあっていれば、メンバー同士がそれぞれの得意な資質を「貸し借り」することで、互いの弱みを補完しあうことができます。
例えば、私が得意ではない分析や論理思考は、それを上位に持つメンバーの力を借ります。その代わり、私は、「分析思考」と逆の志向性である「共感性(Empathy)」が上位にありますので、メンバーの感情やチームの雰囲気を読み取ることが得意です。そして、その「共感性」を使って、ストレスがかかっていそうなメンバーの存在に気づいて声をかけたり、悩みを抱えていそうなメンバーの思いに耳を傾けたりしていきます。
これが、「資質の貸し借り」ができている状態です。
こう考えると、「下位資質」も悪くないって思えるんですよね。
「下位資質」があるからこそ、自他を尊重しあって、助け合うチームがつくられるわけですから。
4.「弱み」を知ることが、「強み」を自覚することにつながる
自分の「弱み」を知ることは、逆説的ではありますが、自分の「強み」をより深く自覚するための重要なステップであると私は考えます。
例えば、私の「最上志向」の場合。「細かいところにまでこだわりすぎてしまうというベースメントがあるからこそ、質の高い仕事を常に追求するバルコニーを持っている」という捉え方を、私はしています。
「~だからこそ、~である」
この捉え方が重要です。
同様に、上位資質と下位資質の関係では、こんな捉え方です。
「私は、確かに、データ分析や論理思考は苦手かもしれない(分析思考)。でも、そんな自分だからこそ、人の感情を敏感に汲み取ったり、感覚的に物事を捉えたりすることができる(共感性)」。そして、「それが得意な人の才能を発揮させることができる」。
「強み」と「弱み」は背中合わせ。
「弱み」を知ることによって、自分が持つ「強み」が明確になってきます。
「だからこそ思考を忘れずに」、これは、私が個人セッションの際に、よくお伝えしていることです。
「弱み」を自覚し、それがベースメントの場合は、まずは自分の意識下に置き、バルコニーとして使えるようコントロールしていく(ボリューム調整)。その「弱み」が下位資質の場合は、それを上手にできる人と「資質の貸し借り」をしていく。そして、自分が持つ上位資質での貢献ポイントを見つけていく。
「弱み」があるからこそ、自分の(仲間の)「強み」が活かされる。
みなさんも、ぜひ、そんな捉え方をしてください。
5.「弱み」を知り、自分らしく生きる
自分の「弱み」からは、できるだけ目を背けたい。
この感覚は、私もよくわかります。ストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)に出会うまでは、私がまさにそうでした。でも、「弱み」を知り、それを受け入れることって、私たちが「自分らしく生きる」ためには、外せないピースなんですよね。
ベースメントや下位資質と向き合うことは、確かに簡単ではないかもしれません。
でも、その過程の中で、自分という人間を、客観的に捉えることができるようになります。そして、そこと向き合うことで、逆にある「強み」の存在に気づき、それを使って生きていく道、「自分が、無理せず、自然体でいきていく」道が、だんだんと見えてきます。
ストレングスファインダー®は、私たちが「自分らしく」生きるためのツールです。「強み」も「弱み」も含めて、大事な私。その自己理解を深めることで、今まで以上に「自分らしさ」を大切にしながら、日々の生活や仕事に取り組むことができるはずです。
私もストレングスコーチとして、出会った人たちが、今まで以上に「自分らしく生きる」サポートをしていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!ではまた!